
プロテインにも色々と種類があります
大豆プロテイン
欧米 などではベジタリアンに良く使用されています。ただ、大豆はアミノ酸組成にやや弱点があり、必須アミノ酸のメチオニンが少ないのです。また、繊維質が多くて消化に難があることも問題となります。
現在ではこれらの弱点は解消されていて、メチオニンを添加したうえ、繊維質を取り除いて消化を良くしたものが販売されています。グルタミンやBCAAなど、アスリートにとって重要なアミノ酸が多く含まれることは メリットとなるでしょう。
ミルクプロテイン
ミルクのタンパク質は、カゼインとホエイに分けられます。ホエイプロテインについては後述しますので、ここではカゼインについて述べていきます。
カゼインは含硫アミノ酸を除く殆どのアミノ酸を豊富に含んでいるのですが、非常に消化が悪いという欠点があります。
カゼインは胃に入るとレニン(レンニン、レンネット)という酵素が働いてパラカゼインになり、これがカードと呼ばれる固まりになります。
カードはペプシンによって徐々に消化されていくのですが、その速度は遅く、完全に消化されるまでには10時間近くかかることもあります。
ですから血中に少しずつアミノ酸を放出するには向いているのですが、筋肉がつくアナボリックな環境(血中アミノ酸レベルが一定の水準を超えている)状態を得るには不向きです。
またカゼインはアレルギーの原因にもなり やすいものです。
さらに、ミルクプロテインには乳糖が含まれ、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人には向いていません。カゼインは就寝前など長時間に渡ってプロテインの摂取ができない場合などに有効といえるでしょう。
エッグプロテイン
卵は完全食品とも言われ、特にアミノ酸組成としては人体が必要とするものを過不足なく含み、非常に優秀なタンパク源だと言えます。現在でもオーストラリアなどでは、ホエイと並んで好んで使用されているようです。
ただ、一度飲んだことがある方ならお解りでしょうが、どうしても卵は塩分を多めに含むため、しょっぱい味になってしまいます。
また、塩分は体内に水分を貯留させてしまうため、身体がむくみがちな人、余計な体重は落としたいアスリートなどには不向きになってしまいます。
エッグプロテインにはアスリートにとって重要である「ロイシン」というアミノ酸が、やや少なめであるという弱点がります。
ロイシンは筋肉を構成するアミノ酸の3割を占める分岐鎖アミノ酸の一つでもあり、運動中のエネルギー源としても重要です。
ですからロイシンが少ないというのは、卵プロテインをメインとするトレーニーのネックとなっています。
ホエイプロテイン
ミルクプロテインからカゼインを除いたものがホエイプロテインとなります。
ヨーグルトの固体部分がカゼイン、上澄みの液体部分がホエイです。これからも、カゼインは凝固しやすく、ホエイは液体である、つまり消化吸収が早いということが推察されます。
ホエイこそはアミノ酸組成に優れ、アスリートにとって重要なBCAAやグルタミンも豊富に含む原料です。
そして消化吸収も良い、ということから現時点ではウェイトトレーニングの効果をあげるならばホエイプロテインがベストの選択ということになります。
また、ホエイにはラクトフェリンや免疫グロブリンGなどの免疫向上タンパクが多く含まれます。試験管内での実験では、エイズウィルスはホエイプロテインの中で死滅するそうです。
さらに、カゼインに不足していた含硫アミノ酸(メチオニン、システイン)ですが、これらはホエイには多く含まれます。
これらのアミノ酸が日本人の食生活で少なく、制限アミノ酸となりやすいこと。
加えてシステインは肝機能を高めるといったメリットもあり、免疫向上効果とあいまって、ホエイプロテインは一般的な健康管理にも大いに役立つことでしょう。
ホエイプロテインの種類-製造方法
ホエイプロテイン・コンセントレート-濃縮ホエイ(WPC)
牛乳を暖めてできる膜の部分がホエイたんぱくですが、このタンパク質を、非常に目の小さな網を使って濾過精製し、約80%位がタンパク質、残りにその他の乳成分が残っている状態になったものをコンセントレートと呼んでいます。
精製過程が少ないので免疫力を高める活性ペプチドが多く含まれます。ただ、脂肪とラクトース(乳糖)が少量含まれていて乳糖過敏症の人が飲むとお腹を下してしまったりします。
牛乳を飲んでお腹の調子がおかしくなければ、質の良いコンセントレート・プロテインのほうが価格的にも、結果としてもおすすめできます。
事実サプリメント大国のアメリカでは乳糖過敏症の人が少ないため、安価なコンセントレート・プロテインのほうが断然人気があります。
ホエイプロテイン・アイソレート-分離ホエイ(WPI)
WPCを更に加工(ラクトース、脂肪、ミネラルを濾過)し、タンパク質の含有比率を高くしたものをホエイプロテイン・アイソレート(WPI)と呼んでいます。
WPIの製造方法には次の2種類があります。
1.イオン交換法
電子負荷に基づいてたんぱく質を分離する方法。 イオン交換ホエイプロテイン・アイソレートは、たんぱく質含有率が90%以上で僅少のラクトースを含み、脂肪は含有しません。
さらにイオン交換の過程でタンパク質が変性したり免疫強化に重要なペプチドが失われてしまいます。 なので、イオン交換法のホエイプロテイン・アイソレートはタンパク質含有率が高いだけのプロテインだといえます。
2.クロス・フロー精密濾過(CFM)
CFMはイオン交換プロテインの問題点を解決するために開発された方法で、イオン交換よりはるかに優れたプロセスです。
CFMによって生産されたホエイプロテイン・アイソレートは、イオン交換プロテインよりも総たんぱく質含有率は1〜2%低く、脂肪とラクトースは殆ど含まれません。
イオン交換プロテインと異なり、CFMホエイプロテインは少なくとも99%無変性で大切なペプチドも全部保存されています。
牛乳を飲むと調子が悪くなる人には、高価となりますがCFMホエイプロテイン・アイソレートもしくは、エッグ、大豆といった牛乳由来でないものをオススメします。
NEXT:プロテインの飲み方